2011年8月29日月曜日

僕と出会いに感謝の日々

東京に、ある一件のバーがある。


大都会の喧噪にあって、


そこだけ時が止まったかのような空間。


夫婦だけで30年以上切り盛りしてきたその店には、


夜な夜な多くの酔っぱらい大人が集い、


まるで井上ひさしの戯曲のような悲喜交々が織りなされる。



ある日、僕は大学の先輩に連れられてその店を訪れた。


10人座れば満席になってしまうような空間に、


たくさんの「大人」が肩を寄せ合ってお酒を飲んでいた。


皆さん、立派な社会的地位をお持ちの方々ばかりだった。


僕の知らない世界をたくさん知っている人たちとの会話に、


僕はすっかり夢中になっていた。


その席で、僕はあるデザイナーの方と知り合った。


聞くとロンドン在住とのこと。


「僕、夏からマンチェスターに行くんです!」


彼女は一言、「くれば」


といって住所を教えてくれた。


そして2ヶ月後、


僕は彼女のロンドンの自宅に1週間滞在していた。


マンチェスターで栄養失調に陥っていた僕に、


滋味深い手料理を振る舞ってくれた。


お礼にと、家の模様替えを手伝ったり、買い物に行ったりした。


折角ロンドンにいたのだけど、


観光はあまりせず、彼女とのお喋りを楽しんだ。


宇宙人と出会った話。


バブルの頃の羽振りの良い話。


アフリカ人アーティストの表現欲求の話。


怖いもの知らずと世間知らずの違いの話。


利殖の話。


鍋でご飯を炊く方法。


その全てが僕には新鮮で刺激的だった。




そして滞在中に僕は28歳になった。


中国で知り合った日本人の友人とその友人2名に誕生日を祝ってもらった。


デザイナーさんも上記の友人もその前に一度会ったことがあるだけ。


そんな人たちとロンドンで誕生日を迎えている自分がとても不思議だった。




思えば、26歳の誕生日をテキサスで迎え、


27歳の誕生日に会社を辞めることを決め、


28歳はロンドンで。


平坦ではないし、見通しもひどく悪く、不安は尽きないけど、


僕は結構面白い人生を送れている気がする。


それも全て周囲の多くの面白い人たちのお陰。




今日も多くの素晴らしい出会いの連鎖に感謝。


そして、そんな人生を楽しむ機会を与えてくれた両親に感謝。






0 件のコメント:

コメントを投稿